イングラムから託された使命を果たすために私が選んだ接触対象は、情報部のギリアム・イェーガー少佐だった。 マオ社経由で口を利いてもらってもいいが、イングラムが使ったルートでもあるし、別の後ろ盾が欲しかったのだ。 元々直接は関わっていないが、裏では――表でもマオ社の人間としてSRX計画に関わっている。 別に不自然ではないはずだ。 テストパイロットとしての実績はあるし、それ以外にも実力を示せと言われればすぐに出来る。問題はない。 経歴や戸籍は誤魔化しきれない部分があるが、この不安定な時勢ではそういったものはあまり意味を持たない。 ギリアム少佐自身、軍に入る前の経歴は不透明だ。 故にそこを突いてくるこ[…]