ヤミアイ

恋の魔法は使ってないけど SRWNovel

恋の魔法は使ってないけど

3月と言えど、まだ夜は冷え込む季節である。 くしゃみの音が深夜の公園に響きわたった。 新聞紙とダンボールの下から、その布団には似つかわしくないスーツ姿の青年が転がり出た。 「うー、今日は何故こんなに冷えるのだ! こうなったら、サライ……」 しかし叫ぼうとしたその口を自らの手で塞ぐ。 決めたのだ。魔法に頼らず生きていく、と。 彼の名は闇野響史。肩書きは正義のジャーナリスト。 しかしその実態は、数週間前職と帰る場所を捨てた浮浪者、大魔界の魔道士、ヤミノリウスIII世である。 大魔界へ戻る道は開けず、造反した上その大魔王がガンバルガーに敗れ消滅しては戻るつもりもなく、地上で生きていくことを決めた。 […]
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