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波に浮かぶ恋心 SRWNovel

波に浮かぶ恋心

東京の海は、少し泳ぐには向かない。 環境問題が騒がれて旧西暦の時代よりは綺麗になったらしいとはいう。 しかし旅行でしか浅草を離れたことのないショウコにとって、海とはやはり東京の海だった。 「修羅界には海ってあったの?」 「あったぞ。海を縄張りにした奴らがいて、軽い気持ちで出たら痛い目に遭う」 少し予想とは違う、でもだいたい想像通りの答えに期待が膨らむ。 「今停泊している所のすぐそこにレーツェルさんのプライベートビーチがあるんだって。行ってみない?」 「そこに海の修羅……この世界で言うところの海賊はいないのか?」 「いるわけないでしょ。泳ぐかはともかく、見に行ってみようよ!」 半ば強引に連れ出す[…]
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