バテン

■とあるマグナスをめぐる攻防 NinNovel

■とあるマグナスをめぐる攻防

鍵のかかった引き出しをガタガタすると、変色した本が落ちてきた。 「エッチな小説のマグナ・エッセンスが取れるよ。もらっとく?」 →そうね!  いらないわ 顔をしかめるサギに対し、彼女は実に明るく、クスクス笑いでそれを命じた。 渋々ながら彼女の声に応えブランクマグナスを取り出したが、目ざとい同行者がそれを大人しく見過ごすわけもない。 「そんなの持っていくの? やっらしー」 「放っておけ。サギも年頃だ」 二人の台詞に慌てて本を取り落とす。 自分じゃない。自分と一緒にいる精霊が持って行けと言ったのだ。 そう否定するが、そんな言い訳が通用するはずもなかった。 「わしらに聞こえんからと嘘はいかんぞ」 「そ[…]
■私のこころ NinNovel

■私のこころ

「これは重要な選択だよ」 こころがキュウッと締め付けられた。 鼓動も高まっていくがこのからだはサギのものだから、きっとこれはサギのこころのせいだ。 だが私に肉体があったとしたら、同じように鼓動の高まりを覚えていただろう。 急速に強まってくる、私のこころのちから。 邪神の力の一片を持つ私のこころは、宿主であるサギのこころを脅かすまでになっている。 このままだと、主従が入れ替わってしまう。 私が肉体を得て、サギが私のこころに憑くようになる。 サギはそれでもいいと言っている。 残るは、私の決断。 ――ちからが欲しかった。 伝説の精霊憑きには精霊から大いなる叡智とちからを授けられるという。 だが私はサ[…]
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