ジンアユ

枯れない花、されど散る花 SRWNovel

枯れない花、されど散る花

街を割る河に船が浮かぶ。 花火大会があるというので、アルティメット・クロスの面々の一部も純粋に観光に興じている。 「サヤ、行かなくていいのか?」 「リチャード少佐が見ていたドラマで花火大会がどういうものかは知っています」 「だが実物は見たことがないということだろう?」 彼らが戦場で聞くものとは全く違った、火薬の炸裂音。 命を消す爆炎とはまた違った、色彩溢れる『花』と呼ぶに相応しい流れる火。 「会場に行かなくても見られるではありませんか。実物はなお美しいですね」 「出店もあるから行った方が楽しめるだろうが、サヤは人混みは苦手かな?」 「ええ。少尉と……アーニーとはぐれたらと思うと不安です」 素直[…]
輪廻の庭 SRWNovel

輪廻の庭

荒れに荒れた庭に通され、ジンは唖然とした。 「ディラン博士、これは……」 「アユルにこの庭の世話を任せたの。あなたの傷が完治するにはまだ時間がかかるわ。それまで庭の手入れでもしてのんびりなさい」 アユルは俯いて赤面している。 彼女と知り合って間もないが、内気な少女だというのはよくわかる。 ただ、それでも細やかな女性であろうと思っていたので、庭の手入れ1つ出来ないというのは意外だ。 「娘の庭をよろしく、スペンサー大尉」 “娘”と比べて“の庭”の発声が弱かったように聞こえたのは、ジンの男としての性だろうか。 ディラン博士が立ち去り、アユルの赤面がますます強くなった。 「芸術的な庭だな。枯山水か?」[…]
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