荒れに荒れた庭に通され、ジンは唖然とした。 「ディラン博士、これは……」 「アユルにこの庭の世話を任せたの。あなたの傷が完治するにはまだ時間がかかるわ。それまで庭の手入れでもしてのんびりなさい」 アユルは俯いて赤面している。 彼女と知り合って間もないが、内気な少女だというのはよくわかる。 ただ、それでも細やかな女性であろうと思っていたので、庭の手入れ1つ出来ないというのは意外だ。 「娘の庭をよろしく、スペンサー大尉」 “娘”と比べて“の庭”の発声が弱かったように聞こえたのは、ジンの男としての性だろうか。 ディラン博士が立ち去り、アユルの赤面がますます強くなった。 「芸術的な庭だな。枯山水か?」[…]