コメディ

狂科学者監督伝説 Others

狂科学者監督伝説

ここにある村は、ひとつの事で苦しんでいた。 彼らは待ち望んでいた。 この状況を打破してくれる、救世主の存在を。 彼らにとって不幸だったのが、通りがかったのが困っている人を見過ごせぬ風来人ではなく、 破天荒で自己中心的な自称エレキ箱芸術家、バリバリだったことである。 双方がまだ理解していなかった。 村人は彼を救世主と思い総出で歓待したし、バリバリの方は自分の芸術を理解する人間が貢物をしてくれたのだと、完全に勘違いしていた。 「それで我輩はこのネコボーと共に旅に出たのだ! 一世一代のエレキ箱を完成させるために! 我輩の芸術を世界に広めるために! ハハハハハハハハハハ!!」 バリバリは、酔っていた。[…]
向かい風の中で Others

向かい風の中で

誘うだけ誘ったあとは、向かい風ばかり寄せてくる旅の神クロン。 早くこの村を出て行かなくてはならない。 その想いは焦燥を生むだけで、力に変わりはしない。 進むことも、戻ることも出来ない。 心は、荒んでいく。 「ちょっと気晴らしした方がいいンじゃねぇか、シレン?」 「煩いな、そんな暇ないよ……」 「その調子じゃダメに決まってらぁ。オイラの言うこと聞いてりゃ間違いはねぇって」 「何だよ、口だけ達者で、俺にばかり苦労させて……一人じゃなーんにもできねぇくせによ」 日常茶飯事である二人の口論も、どこか刺々しい。 結局はシレンが折れ、“気晴らし”をすることになった。 それを知ってげんなりしたのは、ヨシゾウ[…]
こんな日もあるさ SRWNovel

こんな日もあるさ

宇宙へ上がり、エクセレンも無事に取り戻したハガネ及びヒリュウ改の面々。 しばらく敵襲もなく、各員は自機の調子を整えつつ、訓練や趣味に勤しんでいた。 しかしそんな時間さえも混乱に奪われてしまうのは、戦士の宿命だろうか。 平和は、長くは続かない。 悲鳴とも怒号ともつかぬ叫びが、ヒリュウ改であがった。 オペレーターのユンは艦内の異常を手早く報告した。 「艦長、食堂で騒ぎが起きているようです」 「食堂!?」 食堂で騒ぎになるとしたらおかずが多いとか少ないとかの口論だが、今は食事時ではない。 何事だろうか。 ユンが映像を出そうとする間もなく、向こうからコールが入った。 「ど、どうすれば、どうすればいいん[…]
小隊長様ご無体を SRWNovel

小隊長様ご無体を

直前一週間ほどから、皆が妙に浮き足立つ、この日。 2月14日、バレンタインデー。 友情と愛情とロマンと社交儀礼が渦巻く乙女たちの祭日。 それが及ぼす利益は凄まじく、それを狙った企業の思惑により、 新西暦のこの世界では世界中、いや、宇宙であろうとも彼女たちはプレゼントを抱え奔走する。 そして男は、ある者はそれをひたすら待ちわび、ある者は冷めた目でみつめるのであった。 「わざわざ業界の策略に乗ることはないだろう」 「んもぅ、そんなこと言ってないの。ほらほら!」 そして、ここでももう一人―― 「レオナのプレゼントが貰えますように、レオナのプレゼントがもらえますように……」 タスクはひたすら囁き祈って[…]
指揮官Lv0 SRWNovel

指揮官Lv0

「戦闘指揮官……ですか?」 「はい」 ブリッジに呼び出され出向いてみれば、パイロット総出でお出迎え。 そして戦闘指揮官への任命、である。 「元々当艦ではゼンガー少佐が務めていたのですが……」 「アサルト1はキョウスケが引き継いだんですけど、指揮官はそうもいかないでしょう?」 「自分は情報部からの出向なのですが……」 あまりにもお粗末過ぎる言い逃れ。 これで任を逃れられるとはギリアム本人も欠片たりとも思っていない。 「本来そうでも今はパイロットとして出向していただいておりますからなぁ」 「いつも先頭に立つのに何言ってんだか」 「教導隊の人っすよねぇ」 「階級、実績、共に問題ないわ」 「少佐なら大[…]
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