インギリヴィレ

いつの未来も、きっと幸せな SRWNovel

いつの未来も、きっと幸せな

データルームの入口にはずっと在室を示す掲示灯が光っている。ドアベルのボタンを押して、室内との通信が開くのを待った。 「ギリアム少佐、入ってもいいかしら。何か手伝えたらと思って」 《君か、ヴィレッタ。歓迎する》 電子ロックの解錠と共にプシュッと空気音がして彼女を招いた。彼女が腕から下げたのは給餌用の保温バスケット。会釈するとポットを手に微笑んだ。 「そろそろコーヒーのおかわりも欲しい頃合でしょうしね。詰め過ぎよ? それと軽食も」 バスケットを置くとサンドイッチが入っているのがわかる。トーストと少し溶けたチーズの薫香と共に瑞々しい野菜の色が本能を刺激した。 「これは君が?」 「あら、よくわかったわ[…]
狂乱の堕天使 SRWNovel

狂乱の堕天使

ホワイトデー前日の補給とあって、買い出しに行く人間は後を絶たない。 ただ出入りが多くなるというのは、それだけ騒ぎが起きやすいということで―――― イングラムとギリアムはうめき声をあげ、自らの体制を立て直すより先に、荷物の中身を確かめた。 その結果、即座に立ち上がり相手を睨みつけることに。 「お前が不注意だから……!」 「貴様こそその予知能力は飾りか!?」 二人が差し出したのは出合い頭の衝突事故によって無惨に潰れたギフトボックス。 この状態では中身が無事で済むはずもない。 まだ時間はあるから買いなおせばいい話ではあるが、それで済むなら彼らの仕事はもう少し楽になるのである。 それでも相手が別の人間[…]
テキストのコピーはできません。