アニサヤ

今ここにいる幸運を SRWNovel

今ここにいる幸運を

アーニーがUXに保護された時、正体を隠していた頃のサヤから『らっきーだったナー』と言われたことがある。 命が助かったこと。異星人との連携を強める軍の方針を知ることが出来たこと。 その時は素直にサヤの言葉を受け入れる事ができた。 しかし、世界の在り方を知って疑問が出た。 幸運でも何でもなく、必然だったのではないか、と―― 何度も繰り返した世界。ジンが今のアーニーの位置にいた世界もあっただろう。 むしろこの親友2人はそういう風に仕組まれている。 片方がUXのような部隊に行き、サヤのような存在と出逢い、彼女を目覚めさせる。 この閉じられた世界がそれを脱却するために、蜘蛛の糸のように導かれてきた2人。[…]
枯れない花、されど散る花 SRWNovel

枯れない花、されど散る花

街を割る河に船が浮かぶ。 花火大会があるというので、アルティメット・クロスの面々の一部も純粋に観光に興じている。 「サヤ、行かなくていいのか?」 「リチャード少佐が見ていたドラマで花火大会がどういうものかは知っています」 「だが実物は見たことがないということだろう?」 彼らが戦場で聞くものとは全く違った、火薬の炸裂音。 命を消す爆炎とはまた違った、色彩溢れる『花』と呼ぶに相応しい流れる火。 「会場に行かなくても見られるではありませんか。実物はなお美しいですね」 「出店もあるから行った方が楽しめるだろうが、サヤは人混みは苦手かな?」 「ええ。少尉と……アーニーとはぐれたらと思うと不安です」 素直[…]
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