今度こそ、彼を

“向こう側”に残してきたリュケイオスが何らかの影響で変異を遂げ、こちら側に現れた。
ギリアムですらも把握していないその存在は、何故かギリアムのよく知るXNガイストの姿をしていた。
「だが、俺なら制御出来るはずなんだ」
無差別に攻撃を繰り返すそれを相手に、彼は何らかの決意を決めたようだった。
「奴の動きを止めてくれ。その間に俺がコアユニットとして入り込む」
皆、危険だと制止した。それしか手段はないのか、むしろそれは手段には成り得ないのではないか。
「ヴィレッタ……君は俺を信じてくれるよな?」
「信じている。でも、貴方にそれをさせる訳にはいかない」
ギリアムは軽薄に笑う。
彼には珍しく、そして彼らしく人の感情を動かす行動。
「俺に生きてほしいから? 俺は生き残るよ。それ以外に理由があるというなら」
薄く笑い、声を震わせる。
「俺を嫌いになってくれればいい。それで理由はなくなるだろう」
彼の機体が突出し、XNガイストの元へ急行する。
「待って! あなたは私を嫌いになれたの!?」
「なれる訳が……ないだろう……! 故にこの手段を……!」
「理由は同じよ。あなたは焦りすぎている。まだ他に手はあるはずよ」
何度も、それこそ虚憶にしか残らない並行世界でも、別の相手にも、そして彼にも繰り返した説得。
――今度こそ。
今度こそ届けと彼女は心と機体を彼に寄せていった。

 

診断メーカー「貴方が好きな人に伝えた最期の言葉」である日出た
『ギリアムは震える声を紛らわすように好きな人に最期の言葉を送りました。嫌いになって、と。』
でこれなら死亡フラグへし折れそうな気がしたので挑戦しました。
前提の状況についてはあまり深く考えてませんw

 

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