どこかの巡り逢い

イングラムと街を歩く。
変わらない日常、平穏極まりない毎日、ありふれた幸福。
雑踏から視線を感じた。
「ヴィレッタ、どうした」
「誰かと目が合ったの」
「気のせいだろう、行くぞ」
イングラムの言葉に応える前に、彼に声をかけた。
「少しいいかしら?」
「ふふっ、どこか懐かしい人に声をかけられるとは、これは運命かな」
「そういうのでは、ないのだけど……」
何かが気になる。
会ったことはないはずだ。目立つ印象、絶対に見たら忘れない。
懐かしい人。
「ヴィレッタ、見知らぬ男に声をかけるとはどういう了見だ」
「そうね、イングラム……ごめんなさい、あなたも。知っている人に似ていた気がして、どうしても……」
「謝る必要はないさ。俺も君を知っている気がしたからな。ヴィレッタ、だったか。イングラムは兄か? よく似ている。どこかで会ったことがあるかな」
「さてな。知っている気がするが、どうでもいいことだ。ただ、一方的に覚えられるのは気に入らない。少し俺たちと話すか。そうだな、まずは名前だ」
笑いあった。
「ギリアムという。よろしく頼む」

 

—————-

 

「自分が一番書きたいギリヴィレ」は毎回ブレるのですが、根本的にこれが書きたい気がします。
どこかであったことなのか、これから起きることなのかはともかく、存在していてほしい世界です。
我ながらギリアムとイングラムのすっとぼけてる感やべーですねw
「君の名は」とか言っちゃダメです←

テキストのコピーはできません。