『自由』の使い方

「何をしに来た、この暇人が」
「自由戦士って言ってくれよメイシスお嬢ちゃん、もとい氷槍のメイシス様!」
剣を喉元に突きつけられ悲鳴を上げる。
修羅に模造刀などという文化はない。これは真剣だ。
そしてメイシスの心も、刃の如く。
「メイシス、そこまでにしてやれ」
「アルティス様が仰せなら」
渋々ながら剣を下ろしたメイシスを見て、調子に乗らずにはいられないのがこの男の信条。
「さっすがマイダーリンアルティス様!」
「やれ、メイシス」
「アルティス様の仰せのままに」
「いやいやいやいや! 冗談だから! つかアルティス! そのやれって絶対物騒な字書くだろ!」
「修羅にとっては日常的な字だが?」
「貴様まであの腑抜けのフォルカと似たようなことを……!」
泥沼である。沼を作っているのはアリオン自身だが。
溜息をついて昔を思い返す。
アルティスが修羅兵だったころからの知り合いで、真面目なアルティスとは対極的だったアリオン。
しかし、それ故に、か、妙にこの2人は仲が良かった。修羅としての階級差がついてしまっても。
メイシスが、そしてフォルカとフェルナンドがアルティスの家に来ても、尚。
アリオンは自由を愛している。
だが、孤独を好まない。人と関わるという束縛は、彼にとってはむしろ心地がよかった。
だから。
「何もなさすぎると自由の有り難みがわからねぇんだよ! ダーリンも嬢ちゃんも戦いがないと何していいかわからねぇだろ!」
「誰がダーリンだ」
「誰が嬢ちゃんだ……! 次言ったら本当に首と身体に永劫の別れを迎えさせてやる」
溜め息をついた。
本題はそこではないと言うのに。
「でもさ、暇な時間があったら2人に会いたいなーって思うのはホントだよ。俺の自由意志!」
アルティスもまた溜め息をつく。
「誰も来るなとは言っていない。お前が余計な言葉を吐くからだ。そうだろう、メイシス?」
「私は……来るのは自由だな、確かに」
「よし! 大好きだぜ2人とも! 俺の覇気が2人を超えたら丁重に葬ってやるよ」
「今葬られたいか?」
「すまねぇ、すまねぇって! だからメイシス様剣を締まってくれませんかねぇ!?」
彼らは気付かない。
これこそがフォルカが愛し守ろうとする平穏であることを。

 

スパロボワンライ用SS。お題フリーということで自由戦士ですw
C3の修羅が好きだったんで(具体的に言うとアルメイの描写)OG出てから逆にご無沙汰になっていましたが、やっぱアリアルメイは可愛いです。
アリオンもうちょっと美味しい想いさせてあげりゃよかった。

 

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