新しい始まりの時
「地球へ帰りたいと念じる、か」
バーニィがすぐに思い浮かべたのは、サイド6のことだった。
初陣で撃墜されて、そこで出会った少年。
仲間を失ったあの任務。
そして、決して生きては帰れないだろうと思ったあの戦い。
――アル、この前のあと一機でエースになれるっていうのは嘘だったけど、おれは本当にエースになったんだぞ。しかもあの天下のロンド・ベルでな。
バーニィはそう話す自分の姿を想像した。
しかし、それに対する少年の反応を想像し、ため息をついた。
――――もう彼はあの時のように眼を輝かせてはくれないだろう。
それに、彼はバーニィが死んだと思っているに違いない。
バーニィ自身、あれで生き残れたのは奇跡だったと思っている。
その後の戦いを生き残り、曲がりなりにもエースになれたことも。
これ以上の奇跡は必要ない。
あと一回。あと一回だけ起きてくれればいい。
この閉鎖空間から遠く離れた地球へ。
「アル、おれは戦争を終わらせたんだぞ。そりゃあ勿論、おれだけの力じゃないけどな……」
ビデオメッセージで伝えた約束。
――――――運良く生き残って、戦争が終わったら、必ず帰ってくる。
それを果たすための、最後の奇跡を。
クリスマスが近づいていた。
街に寄ろうと友人に誘われたが、断って家路を急いだ。
サンタのバルーンなんて見てしまったら、泣かないでいられる自信はない。
異星人が攻めてくるだけでなく、地球人同士でも争って。
折角その戦争が終わったと思ったら、またアクシズを地球に落とすとか言い出して。
それも何とか阻止されたけれども。
――戦争なんて、辛いだけなのに。
隣家の前には、車が停まっていた。
そう、あの時のように。
「アル! 久しぶりね、アル!!」
車から出てきたのは、よく知った隣人だった。
「私ね、退役……軍をやめたの。それでこっちに戻ってきたの」
クリスの顔はアルとは対照的に晴れ晴れとしていた。
頷いて、どうにか愛想笑いをつくりだす。
「向こうで一緒だった人も連れてきたのよ。紹介するわ」
後部座席から降りてきた青年が、照れくさそうに笑った。
――――この頃ぼくは思い出す。ザクと出会った日のことを。
「ベストセラーになっているみたいだな、お前の本」
「バーニィも書いたらどう?」
「ははっ、おれはこうして探偵でもやっている方が性に合うさ」
C2ポケ戦。IMPACTは投げちゃったんで……。
C2は原作再現はありませんが、“原作が終わり生き残った”バーニィが出てきて、ノリスと熱い会話をする0080好きにはたまらない逸品かと。
個人的には小説版の続きかな、と思っています。
ビデオレターが声付きで出てくるGCも捨て難いですけれども。バーニィが探偵をやっているのは第4次のEDから。
アルの将来の姿が戦場カメラマンって説もどこがソースかわからないけど好き。