■運命の日

「人生ってうまくいかねぇよなー」
ファルコンハウスで若きドラゴンバードのパイロットは愚痴を吐く。
「何悟ったようなこと言ってるんだよその歳で……」
隣の若者はキャプテン・ファルコンという名を持っているが、今はただのマスターの夫兼高機動小隊の一員兼入り浸っている客である。
「当ててみましょうか? 恋の悩みね」
マスターはコーヒーを出しつつ笑う。
「そう! そうだよ! またフラれた!」
才能に溢れる天才パイロットは、どれだけ人気を得ても気になった子には振り向いてもらえない。
「遠い人だとか、もっと相応しい人がいるって……そんなのオレが決めることだし……」
何回目の失恋かわからない。
ハッカーをやめてミュートシティに来て、心の平穏を得た。
友、職業、仲間、何より家族に恵まれた。
ただ恋には恵まれない。
「大丈夫だ。運命の人は必ず現れる」
「リュウが言うとノロケっぽいけどかなり洒落にならねぇというか、本当に運命だし、オレはそういうフラグ嫌なんだけど」
「ふふ、とりあえずその歳で悟るのは確かに早いわね。今度の誕生日で18歳、まだまだ先よ」
この数字はひとつの区切りになるが、大したことはない。
彼らが選び続けた運命で、伝説になる日常は続いていく。
ドアベルが鳴った。
「いつもどおりだな、クランク」
「親父か。これでもいつもよりは悩んでる。コーヒーが増えている、カフェイン中毒になる……」
「ああ、とりあえず色々悩み多き年頃だと思うが……ん、アンディは来ていないのか?」
「おっちゃんは最初いた。ただオレの悩みを察したらしく頑張れ、とだけ」
人生はうまくいかない。
「ドクターやおっちゃんみたいに独身貴族を気取れるようになるには、何年必要かな……」
「いや、その……多分あの人自分を独身だと思っていないぞ」
リュウがクランクの言動に溜め息をつく。
「あいつはあいつでうまく生きられない奴だ。特に家族という相手にはな」
「その中で生き抜こうとする人が選ばれるのよ、きっと」
人生はうまくいかず、運命は皮肉。
「運命じゃなくていいから普通にオレのこと好きになってくれる人いないかなぁ」
ただ喜ばしい運命、ファルコンハウスでふたりの誕生日パーティーを行う日は近付いている。
それが別の運命の日になるかは彼ら次第。

 

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リュウ&クランク誕生日おめでとう!です。
Twitterを見てやべぇ、と急遽書いたものです。
教室の「最近気になる子がいるみたいです。これから青春するんだろうなぁ」をそういう小説にしてみました。
凄く活躍しているドラゴンバードのパイロットだけど割と普通の少年(悪人面)は気付かないだけで多分内々に想ってくれている子がいます(個人的見解)
生存設定はデフォです。生きてないわけがない。

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