■とあるマグナスをめぐる攻防

鍵のかかった引き出しをガタガタすると、変色した本が落ちてきた。
「エッチな小説のマグナ・エッセンスが取れるよ。もらっとく?」

→そうね!
 いらないわ

顔をしかめるサギに対し、彼女は実に明るく、クスクス笑いでそれを命じた。
渋々ながら彼女の声に応えブランクマグナスを取り出したが、目ざとい同行者がそれを大人しく見過ごすわけもない。

「そんなの持っていくの? やっらしー」
「放っておけ。サギも年頃だ」
二人の台詞に慌てて本を取り落とす。
自分じゃない。自分と一緒にいる精霊が持って行けと言ったのだ。
そう否定するが、そんな言い訳が通用するはずもなかった。
「わしらに聞こえんからと嘘はいかんぞ」
「そうそう。何でもかんでもあの子のせいにしたら可哀想よ」
「事情はわからんが人間もっと正直に生きるべきだぞ、少年」
――――あなたは正直すぎです。
口を挟んできたクズマーンにそう言いたくなるのを必死に抑えた。
彼の参入で余計話がややこしくなる。
そして温厚なサギは口ではギロやミリィアルデにかなわない。
ため息をつきながらこころの中の居候に何か言ってよとうながした。
彼以外には聞こえないのだが、せめて彼女が謝ってくれるなら、気休めにはなる。

 ごめんね、サギ
→私は知りません

彼女への信頼が音を立てて崩れた瞬間だった。
抗議の声をあげるが彼女は笑うばかりで応じようとしない。
「サギがあんなこと言うから機嫌悪くしたんでしょ」
「機嫌が悪いのは僕だよ。何でこんなことに…………」
ふてくされるサギの前にクズマーンが小説の挿絵を開いて見せた。
真っ赤になりながら本を奪い取り、何とかもとの場所に戻そうとした。
「マグナスが欲しいならさっさと取れ。初めて飛ぶ雲カモメの雛でももっと度胸があるぞ」
「だから違うんだって!」

――――彼女に聞いたのが間違いだった。
こんな本に興味を抱くんじゃなかった。

  ちょっとまずかったかな
→ま、いっか

からかいすぎたかと少し反省しつつもクスリと笑う。
だがその楽しみは意外と尾を引き、しばらくバトルマグナスの引きが悪くなったという。

 

バテン・カイトス2のサダルスウドでの一幕。
顔をしかめながらもちゃっかりHPがUpするサギが可愛いですv

 

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