■英雄と亡霊の正義

ストラトスとクラリスクレイスが模擬戦を行っている。
「この一撃で!」
「いいぞ、やる気だな! だがわたしには当たらんぞ!」

戦闘部副司令とクラス提唱者という立場以前に、潜在フォトンと戦闘経験で圧倒的な差がある。
クラリスクレイスの六芳均衡、三英雄という肩書きは代替品として与えられたものとはいえ伊達ではない。
そして彼女は既に代替品ではない――いつかイリスと名乗るために戦っている。

ストラトスが提唱し確立したヒーロークラスは彼女の性質と同じく直線的だ。
対してクラリスクレイスは幻惑するフォース。
クラス相性も悪い――当たればいいが、当たらないのだ。

「両者そこまで!」
ヒューイの号令で戦闘が終わる。

「やるようになったな、貴様!」
傷ついた服を見せてクラリスクレイスが笑う。
「前よりだいぶ当たるようになったぞ! 強くなったな!」
「ありがとうございます、副司令!」
こうして見ると無邪気な2人の少女にしか見えない――実際そうなのだが、とヒューイは少し苦笑いする。
クラリスクレイスらしい褒め言葉を真っ直ぐ褒め言葉として受け止めてくれるだけで、ストラトスという少女をありがたく思う。
そしてアークスとしての貢献も計り知れない。

「今まで以上に磨きがかかったな! やはりアレか! ライバル登場のせいか!」
ストラトスの表情に影が差したのを感じて介入する。
「ハーハッハッハッハッ! クラリスクレイス、クラス同士はライバルじゃない! 協力する仲間だ! 長所と短所を補い合って強くなるんだ!」
まず笑い飛ばす。
「ストラトス、キョクヤは別にお前を否定している訳ではない。ただお前とは別の形の正義を貫こうとしているだけだ」
そして欲しい言葉をかける。
「正義……正義って何なんでしょうか、司令」
アークスの正義はダークファルス、そしてダーカーを滅ぼすこと、とされた。
しかし今の敵は終の女神シバ――フォトナーだ。
「ダーカーを狩ってきたアークスが狩られるのは必然だとフォトナーが言いました……敵には敵の正義がある……」
「そう。言葉が通じなかっただけでダーカーにはダーカーの正義があった。俺たちアークスにとってそれが悪というだけだ。そしてお前にとってファントムは、キョクヤは悪か?」
「……キョー君は優しい子です。今でもとても優しいと思います……悪ではありません……でもどうしてこんなに違ってしまったんでしょう……」

問うまでもない。そもそもヒューイやクラリスクレイスは事情を知らない。
いつも一緒にいた幼馴染の3人に事件があり、塞ぎ込んだストラトスに声をかけるキョクヤを拒絶し、離別した。
変わってしまったのは、どちらだろうか。

「ひとつ言っておく。キョクヤは貴様が好きだぞ」
「お、おい、クラリスクレイス……」
「ファントムクラスの特性、気配遮断で貴様を守ってる。わたしは副司令だからちゃんと見ているぞ!」
「きょ、恐縮です! キョー君はずっと私を守ってくれていたんですね! 教えて下さってありがとうございます!」
「貴様もキョクヤが好きなのだろう! わたしも貴様やキョクヤが好きだから喧嘩はダメだ! わたしとヒューイは喧嘩してしまったが今では大好き同士だぞ!」
「はい! 私もキョー君が大好きです! 指令や副指令のことも好きです!」
「そうだそうだ! アークス同士仲良く好き同士でいないとな!」

2人の無邪気な少女を遠巻きに眺めながらヒューイは密かにキョクヤに同情した。
言動が周囲に理解されないのもお互い様で、無邪気な少女の純粋な好意に振り回されるのもお互い様だ。
キョクヤとファントムの活躍が報われるように、と願わずにはいられなかった。

 

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久々のPSO2です。EP6明らかにライター変わりましたね!
スパロボ的な意味で色々考えてしまうアレというかヒーローの時点で再現キャラ作っていたのにもうマジでなんなん!?って感じですがそれはともかく。
ストラトスちゃんは青髪元気少女という性癖の塊なのですが、その前にヒュークラを拗らせていたので嫌な予感しかせず。
何とか描写はなかったものの警戒しつづけたらキョー君というこれまた性癖の塊の幼馴染(性癖)がいたのであっさり書いてしまいました。
EP6はキョー君とキョーストだけで楽しめます! あと絶対ヒュークラも関わるので楽しみです!
ちなみに恋愛感情ではヒューイ←クラリスクレイスでキョクヤ→ストラトスだと思っています。

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